脈あり?

先日、同期との飲み会があった。コロナウィルスが落ち着きを見せていたころだったの開催された、歓迎会という意味も兼ねた会だった。仕事の話とか趣味の話をする他愛もない飲み会だったのだが、当日飲み会に来ていたある女性(Aとする)が妙に私に気を使ってくれていた。はたから見ると仲良さそうに見えたようで、同期は私達のことをもとからの知り合いのように見えていたらしい。Aとは研修の会場が同じでそれなりに近くにはいたと思うのだが、話したこともなかったと思うし、今まで女性と縁がなかった私は女性の顔や名前を意識して覚えようとしていなかったのでAの顔も飲み会までは把握していなかった。私からするとAとは初対面のようなもので、飲み会が終わってから気が利く人くらいのイメージを持っただけだった。酒が好きでもなかったので、当日私は2次会に行かず1次会だけでそのまま帰った。A含む一部のメンバーで2次会にいったようだが、2次会に行った友人曰く、2次会でAはあまり楽しくなさそうだったようで、お酒もノンアルコールだったらしい。

上でも少し触れたが、私はこの10年近く、女性との縁がなかったこともあってかなり感覚が鈍くなっていたと思う。そういうこともあって、私は同世代の女性に対して目を見てしゃべることができない。最近とある機会に同世代の女性に話しかけられる機会があったのだが、途中までは出身地や出身中学などを聞かれてハイハイと答えていたのだが、急に話題に詰まって変な空気にしてしまったことがあった。今にして思えば中学まで聞かれるくらいなのだから、最低でも同じ市町村の出身で世間話を話したかっただけなのだろうということがわかる。だが、聞かれたときは相手とそのとき初めての顔合わせということもあって、プライベートをずかずかと聞いてくる女性に警戒してしまった。これがもし宗教勧誘の話とか、「アムウェイって知ってる?」的な話に持っていってくれれば「あぁ、この人は目的があって話しかけてるんだな」ということがわかって安心するのだが、急に目的もなく話しかけられると驚く。というか怖い。こういうエピソードを見ても私が非モテであることはわかっていただけると思う。

非モテのこじらせ過ぎであればいいのだが、飲み会のAの様子は脈ありのサインっぽくもある。男としては喜ばしいことなのかもしれないが、話したことのない相手から脈を持たれるというのは得体のしれない怖さがある。私の周りにも恋愛関係に強い人がいないので相談もできない。とりあえず、唯一の情報を得る手段であるGoogleで調べてみると、どうやら女性というのは思わせぶりな態度をとって男を誘い出すものらしい。なんでも最終的な決断を男性の側から引き出さなければ女性の方が力関係が低くなってしまって、付き合いが続かないらしい。それをもとにすると飲み会の気を使ってくれる感じがそれにあてはまるような気がしないでもない。

冷静になって思い返してみると、飲み会から数日前の仕事の帰りにこちらが気付いていないのになぜかむこうから挨拶をしてくれた女性がいるのを思い出した。それがAだったような気がする。もしも私の立場だったら、仕事帰りに同僚や知り合い、しかもほぼ初対面でまだまともに話したこともないような、に会っても目が合わない限りは気付いていないふりをすると思う。多くの人もそうするのではないだろうか。わざわざ挨拶をしてくるのは不自然な気がしたのを覚えている。もしそれがあらかじめ蒔かれた種だったとしたら納得がいく。

今の所、私はこの一件がなんだったのか、どういう意図を持ってAがしていたことなのかを図りかねている。悩んでも解決できる問題ではないのだが、ときどき頭に浮かんでしまう。これがAの戦略だとすれば見事だと思う。

さて、ではこれからどうしていけばいいのかということについて考えてみたい。気付かないふりをして受け流すか、付き合いを続けてみるか。1年もすれば職場が変わるのでこのまま自然に任せれば関係は消えてしまうと思う。しかしこれは私の女性に対しての耐性のなさを補ういい機会なのではないかと私の動物的な本能が問いかけている。一方でもしも深い付き合いになったとすると、結婚や子供についても意識していかないといけないと理性の私が言う。私は結婚や子供を授かることはメリットが薄いというかデメリットしかないと思っているので深い関係は御免だ。その気ならなるべく早くに他の人を考えてもらえる形に持っていきたい。

どうしたものか。

といってみても実際のところ、女性との関わり方を知らない私に取れる選択肢は一つしかない。保留である。そもそも会話もまともにできないので、なにもできない。