スゴイ!日本!

人事のひとから「工場、癖のある人多いでしょ?」と聞かれたことがある。一般社会と比べてどうなのか、正直よくわからないが自由にやってる人が多いとは感じる。そこそこの給料を貰える上にプライベートにとやかく言わない雰囲気があるので時間もお金も自由に使える。どう考えても稼ぎに合ってないだろうみたいな車を持ってる人もいる。ただ工場は手を使った作業ばかりだから全般的に文字を読むのが下手な人が多い。立場が上の人は事務仕事も多いので読むのに慣れている人も多いが、読めない人は全然だめだ。50代のベテラン工員でも支え支えの人も多い。高卒で入ったばかりの子なんかは中学のときクラスにいた教科書を全然読めない子を思い出す程に読めない。そんな人でも白い目を向けられることもそれほどなく、「そういう人もいるよな」くらいで通っている。相対的に(苦手科目が国語だった)自分が工場では文字を読める方の部類に入っている。自信を持てる。

漢字がだめなので英語なんて以ての外だ。よく注意、というかお願いされるのだが「横文字を使わないで欲しい」とのことだ。先日は「テナント」という言葉の意味が通じなかった。意識しないと使ってしまいがちになる。これに関しては私のほうが配慮が足りなかったと思う。漢字の表意文字としての機能を舐めてはいけない。

パソコンの扱いに関してもデータ入力程度としてしか利用しないのでてんでだめだ。両手の人差し指でキーボードを見ながら打っている。聞くと自宅にパソコンがない家も多いようだ。工場でも書類作成をすることはあるので、そういったときは休みがほとんど潰れたりするらしい。そういう具合なので入力を手伝うだけでも大層喜ばれる。インターネットに浸っているとなかなか気づけないがそういう世界もある。

漢字も読めない、英語も読めない、パソコンもできない。そういう人でもそこそこの給料をもらって生きていけるのが工場という場所なのだ。スキルが無い人を雇って車を買わせて、家を買わせて、家族を養わせる、それが工業なのだ。スゴイ!日本!